不支給の通知が届いたら、まず内容を確認しましょう

時間をかけて障害年金を申請した後に、不支給の通知が届くと、

「これまでの苦労を認めてもらえなかった」
「もう申請することはできないのだろうか」
「何が足りなかったのかわからない」

と、不安や落胆を感じることがあります。

不支給になったからといって、すべての手続きが終わるとは限りません。

決定内容や現在の状況によっては、

  • 決定の理由を確認する
  • 審査請求を検討する
  • 状況や書類を見直して改めて請求する
  • 症状が重くなった後に請求する

といった対応を検討できます。

ただし、不服申立てには期限があります。
まずは届いた通知書を保管し、通知を受け取った日と、不支給になった理由を確認しましょう。


最初に確認したい書類

不支給の通知が届いたら、次の書類をまとめて保管してください。

  • 不支給決定通知書
  • 年金請求書の控え
  • 診断書の控え
  • 病歴・就労状況等申立書の控え
  • 受診状況等証明書の控え
  • 初診日に関する参考資料
  • 年金事務所から届いた照会文書
  • 追加で提出した資料の控え
  • 医療機関へ渡した説明資料
  • 書類を提出した日がわかるもの

提出書類の控えがない場合は、手元にある資料を整理したうえで、年金事務所や相談する社会保険労務士へ確認しましょう。

不支給の理由を検討するには、通知書だけでなく、実際に提出した書類の内容も重要です。


不支給になった理由を確認しましょう

障害年金の不支給には、さまざまな理由があります。

主に確認するのは、次のような点です。

初診日が確認できなかった

障害の原因となった傷病について、最初に医師または歯科医師の診療を受けた日が確認できなかった場合です。

たとえば、

  • 初診時の医療機関の診療記録が残っていない
  • 受診状況等証明書を取得できなかった
  • 提出した資料だけでは受診日を確認できなかった
  • 現在の傷病と過去の受診との関係を確認できなかった
  • 書類ごとに初診日や受診経過が異なっていた

といった状況が考えられます。

▶︎▶︎初診日について詳しく見る


保険料納付要件を満たしていなかった

初診日の前日時点における年金保険料の納付状況が、所定の要件を満たしていなかった場合です。
未納期間があるというだけで、必ず要件を満たさないわけではありません。
納付済期間、免除期間、納付猶予期間、学生納付特例期間などを含め、公的な年金記録から確認します。
初診日が変われば確認対象となる期間も変わるため、初診日の認定と保険料納付要件が関係している場合もあります。

▶︎▶︎保険料納付要件について詳しく見る


障害の状態が認定基準に該当しなかった

診断書などから確認された障害の状態が、障害年金の等級に該当しないと判断された場合です。
病名が障害年金の対象となり得るものであっても、それだけで支給が決まるわけではありません。

傷病に応じて、

  • 症状
  • 検査結果
  • 治療内容
  • 日常生活への影響
  • 労働への影響
  • 家族などから受けている援助
  • 職場で受けている配慮

などが確認されます。

▶︎▶︎障害の状態について詳しく見る


障害認定日時点では基準に該当しなかった

過去の障害認定日にさかのぼって請求したものの、その時点では障害等級に該当しないと判断されることがあります。
この場合でも、現在の状態が以前より重くなっていれば、事後重症による請求を検討できる可能性があります。
ただし、請求方法や請求できる年齢などには条件があります。
年金事務所などで、どの時点の状態についてどのような請求ができるか確認しましょう。


提出書類だけでは状況を十分に確認できなかった

診断書や病歴・就労状況等申立書に記載された内容から、実際の症状や生活状況を十分に確認できなかった可能性もあります。

たとえば、

  • 医師に日常生活の実情が伝わっていなかった
  • 家族が行っている援助が記載されていなかった
  • 就労上の配慮が十分に記載されていなかった
  • 良い日だけを基準に説明していた
  • 診断書と申立書の内容に大きな違いがあった
  • 受診経過や症状の変化がわかりにくかった

といった場合です。

ただし、書類に説明を追加すれば必ず支給されるわけではありません。
障害認定基準に該当する状態であったかを、事実に基づいて確認する必要があります。


不支給になった後の主な選択肢

不支給後の対応は、大きく次の3つに分かれます。

1.決定内容を確認する

まず、不支給の理由と提出書類の内容を確認します。

2.審査請求を検討する

当初の申請時点で要件を満たしており、不支給の決定に誤りがあると考える場合は、不服申立てを検討します。

3.改めて請求する

現在の症状が重くなった場合や、新たな事実・資料を踏まえて手続きを行う場合は、改めて請求する方法を検討します。
どの方法が適しているかは、不支給理由と現在の状況によって異なります。


審査請求とは

障害年金の不支給決定などに不服がある場合は、社会保険審査官へ審査請求を行うことができます。

審査請求は、

「現在は状態が悪くなったので、もう一度見てほしい」

という手続きではありません。

原則として、最初の決定が行われた時点の資料や状態をもとに、その決定が適切であったかを審査してもらう手続きです。

そのため、

  • 当初の診断書から認定基準に該当していたと考えられる
  • 提出した資料の評価に疑問がある
  • 初診日を確認できる資料が適切に評価されていないと考える
  • 事実関係の認定に誤りがあると考える

といった場合に検討します。


審査請求には期限があります

社会保険審査官への審査請求は、原則として、決定があったことを知った日の翌日から数えて3か月以内に行う必要があります。
この期間を過ぎると、原則として審査請求が認められません。

不支給決定通知書が届いたら、

  • 通知を受け取った日
  • 審査請求の期限
  • 相談した日
  • 書類を準備した日

を記録しておきましょう。

通知を受け取ったまま長期間保管し、後から相談すると、審査請求の期限を過ぎていることがあります。
対応を検討する場合は、早めに年金事務所や社会保険労務士へ相談してください。


審査請求はどこに行いますか

審査請求は、地方厚生局内に置かれている社会保険審査官に対して行います。
文書による方法のほか、口頭で行う方法も設けられています。
年金事務所は不服申立ての審査を行う機関ではありませんが、手続きの案内や審査請求書の用紙について確認できます。
具体的な提出先や必要書類は、お住まいの地域を管轄する地方厚生局へ確認してください。


審査請求で確認したいこと

審査請求を検討するときは、単に「納得できない」と主張するだけではなく、最初の決定のどの部分に問題があると考えるのかを整理します。

たとえば、

  • 初診日の判断
  • 保険料納付要件の判断
  • 傷病同士の関係
  • 診断書に記載された障害状態の評価
  • 日常生活能力の評価
  • 就労状況や職場の配慮の評価
  • 検査結果や治療状況の評価
  • 提出資料の確認内容

などです。

新たに提出する資料についても、当初の決定時点の状態や事実を証明するものかどうかが重要になります。


再審査請求とは

社会保険審査官による審査請求の決定にも不服がある場合は、厚生労働省内に置かれた社会保険審査会へ再審査請求を行うことができます。
再審査請求は、審査請求の決定書の謄本が送付された日の翌日から数えて、原則として2か月以内に行います。
審査請求とは別の期限であるため、決定書が届いた日を記録しておきましょう。


再請求とは

一度不支給になった後でも、障害年金を改めて請求できる場合があります。
再請求では、その時点で提出する診断書などをもとに、あらためて受給要件が審査されます。

たとえば、次のような場合が考えられます。

  • 不支給後に症状が重くなった
  • 日常生活や仕事への制限が大きくなった
  • 新たな検査結果や治療経過がある
  • 初診日を確認する資料が新たに見つかった
  • 以前とは異なる請求方法を検討する
  • 当初の申請書類を見直して請求する

ただし、同じ内容の書類をそのまま提出し直しても、同じ結果になる可能性があります。

まず不支給理由を確認し、何が変わったのか、何を改めて確認できるのかを整理する必要があります。


審査請求と再請求の違い

審査請求

不支給となった当初の決定が適切だったかを争う手続きです。
原則として、最初の申請時点における状態や事実が問題になります。

再請求

改めて障害年金を請求し、その時点の資料などから審査を受ける手続きです。
症状が重くなった場合や、新たな資料が得られた場合などに検討します。
どちらか一方しか選べないと一律に決まっているわけではありませんが、手続きの目的や確認する時点が異なります。
自己判断で進めず、不支給理由や期限を確認したうえで検討しましょう。


同じ傷病・同じ初診日で再請求する場合

同一の傷病かつ同一の初診日で障害年金を再請求する場合、以前の請求で提出した初診日証明書類の利用を希望できる手続きが設けられています。
ただし、過去の書類があれば新しい書類が一切不要になるとは限りません。
以前の請求内容、保存されている資料、新たな請求の状況などによって取扱いが異なるため、年金事務所で確認してください。


症状が重くなった場合

最初の申請時には障害等級に該当しなかったものの、その後に症状が重くなった場合は、現在の状態で事後重症による請求を検討できる可能性があります。
事後重症による障害年金は、原則として請求した月の翌月分から支給対象となります。
そのため、状態が重くなっている場合は、長期間そのままにせず、早めに年金事務所などへ相談することが大切です。
ただし、初診日や保険料納付要件など、障害状態以外の要件も満たす必要があります。


診断書を取り直す前に確認しましょう

不支給後、すぐに新しい診断書を取得すればよいとは限りません。

先に診断書を依頼すると、

  • 審査請求に必要な時点と異なる
  • 再請求の時期として適切でない
  • 使用する診断書の様式が異なる
  • 何を確認すべきか整理できていない

といったことがあります。

まずは、

  1. 不支給理由を確認する
  2. 審査請求か再請求かを検討する
  3. どの時点の診断書が必要かを確認する
  4. 医師へ現在の生活状況を正確に伝える

という順番で進めましょう。


医師に現在の状態を伝えましょう

不支給になった後も治療を続けている場合は、普段の診察から、実際の生活状況を医師へ伝えておくことが大切です。

たとえば、

  • 一人でできなくなったこと
  • 家族などから受けている援助
  • 入浴や食事、家事の状況
  • 通院や服薬の管理
  • 外出や人との交流の状況
  • 良い日と悪い日の差
  • 現在の就労状況
  • 職場で受けている配慮
  • 欠勤、休職、退職の経過
  • 前回の申請時から変わったこと

などを具体的に伝えます。

不支給になったことだけを伝えるのではなく、現在の症状や生活の変化を正確に説明しましょう。


日常生活の状況を改めて整理しましょう

前回の申請では、ご本人や家族が行っている援助を十分に整理できていなかった可能性があります。

次のような点を振り返ってみましょう。

  • 食事は誰が準備しているか
  • 入浴や着替えに声かけが必要か
  • 掃除や洗濯を誰が行っているか
  • 薬や通院を誰が管理しているか
  • お金や書類を誰が管理しているか
  • 一人で安全に外出できるか
  • 家族からどのような援助を受けているか
  • 仕事へ行った後の生活はどうなっているか
  • 症状が悪い日は何ができなくなるか

症状を重く見せるのではなく、実際の状態を具体的に整理することが大切です。

▶︎▶︎日常生活の困りごとを整理する


働いていることが理由だと思われる場合

働いているという事実だけで、障害年金が不支給になると一律に決まっているわけではありません。
ただし、傷病によっては就労状況が障害の程度を判断する重要な材料となります。

次のことを確認しましょう。

  • 一般雇用か障害者雇用か
  • 勤務時間と勤務日数
  • 仕事内容
  • 職場で受けている配慮
  • 上司や同僚から受けている援助
  • 欠勤、遅刻、早退
  • 休職歴
  • 帰宅後や休日の状態
  • 家族による生活上の援助

単に「働いている」「収入がある」だけでなく、どのような支援のもとで働いているかを整理します。

▶︎▶︎働きながらの障害年金について見る


不支給後に集めておきたい資料

必要な資料は不支給理由によって異なりますが、次のようなものを整理しておくと相談しやすくなります。

前回の請求書類

  • 年金請求書
  • 診断書
  • 病歴・就労状況等申立書
  • 受診状況等証明書
  • 初診日に関する資料
  • 追加提出した書類

決定に関する書類

  • 不支給決定通知書
  • 年金事務所などからの照会文書
  • 審査に関する案内
  • 通知を受け取った日がわかるもの

現在の状態に関する資料

  • お薬手帳
  • 検査結果
  • 入院や手術に関する書類
  • 休職・復職に関する書類
  • 勤務時間や配慮がわかる資料
  • 福祉サービスの利用状況
  • 家族が行っている援助の記録

すべてを提出するとは限りません。

まずは相談時に確認できるよう、手元の資料をまとめておきましょう。


不支給後に避けたいこと

理由を確認せず、同じ書類を提出し直す

不支給理由が変わらなければ、同じ結果になる可能性があります。

審査請求の期限を過ぎる

不服申立てを検討する場合は、通知を受け取った日からの期限に注意が必要です。

先に診断書を取り直す

請求方法や必要な時点を確認せずに依頼すると、使用できない場合があります。

症状を実際より重く書く

事実と異なる内容を記載したり、医師へ求めたりしてはいけません。

不支給理由を一つに決めつける

診断書だけでなく、初診日、保険料納付要件、書類同士の整合性などが関係している場合があります。


よくある疑問

不支給になったら、もう障害年金を申請できませんか

不支給後でも、審査請求や再請求を検討できる場合があります。
どの対応が適しているかは、不支給理由と現在の状況によって異なります。

同じ診断書でもう一度申請できますか

同じ内容をそのまま提出しても、同じ判断になる可能性があります。
先に不支給理由と請求方法を確認しましょう。

審査請求をすれば、現在の重くなった状態も見てもらえますか

審査請求は、原則として当初の決定が適切だったかを確認する手続きです。
不支給後に症状が重くなった場合は、再請求を検討することがあります。

不支給後、すぐに再請求できますか

一律に待機期間が決められているわけではありませんが、何も変わらない状態で同じ内容を提出しても、同じ結果になる可能性があります。
不支給理由、現在の状態、新たな資料などを確認する必要があります。

審査請求と再請求のどちらがよいですか

当初の決定に誤りがあると考えるのか、現在の状態や新たな資料によって改めて請求するのかで異なります。
期限も関係するため、早めに相談しましょう。

社会保険労務士へ依頼すれば決定を変えられますか

社会保険労務士へ依頼しても、支給が保証されるわけではありません。
提出済みの書類、不支給理由、現在の状況などを確認し、検討できる手続きについて相談できます。


不支給後の対応について相談したい方へ

eNENKIN.netでは、障害年金の不支給後の相談に対応している社会保険労務士の情報を掲載しています。
すべての社会保険労務士が、審査請求、再審査請求、再請求に対応しているとは限りません。
掲載情報で、主な対応内容、相談方法、対応地域、費用の目安などを確認し、ご自身やご家族の状況に合う相談先をお探しください。

相談するときは、次のものを用意すると状況を確認しやすくなります。

  • 不支給決定通知書
  • 通知を受け取った日
  • 前回提出した書類の控え
  • 初診日に関する資料
  • 現在の病名や症状
  • 前回申請時から変わったこと
  • 現在の日常生活と就労状況
  • 審査請求を検討しているか
  • 再請求を検討しているか

すべての書類がそろっていなくても相談できますが、不服申立てには期限があります。

早めに相談先を確認しましょう。

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ご確認ください

不支給後に検討できる手続きは、不支給理由、前回の請求内容、現在の障害状態、通知を受け取った時期などによって異なります。
社会保険審査官への審査請求は、原則として、決定があったことを知った日の翌日から3か月以内です。
審査請求の決定に不服がある場合の再審査請求は、原則として、決定書の謄本が送付された日の翌日から2か月以内です。
期限を過ぎると手続きができない場合があるため、通知が届いたら早めに内容を確認してください。
このページの内容だけで、審査請求や再請求のどちらを行うべきかを判断することはできません。
正式な手続きについては、地方厚生局の社会保険審査官、年金事務所、街角の年金相談センター、または不支給後の手続きに対応する社会保険労務士へご相談ください。