保険料を納めていない期間があっても、すぐに諦める必要はありません

障害年金を受けるためには、初診日や障害の状態に加えて、原則として一定の「保険料納付要件」を満たす必要があります。
保険料納付要件とは、初診日までの公的年金の加入期間について、年金保険料が一定以上納付されているかを確認する条件です。
国民年金保険料を実際に納めた期間だけでなく、保険料の免除や納付猶予などが承認されていた期間も、要件の確認に含まれます。
一部に未納期間があるからといって、必ず障害年金を受けられないわけではありません。
まずは、初診日を確認したうえで、ご自身の年金記録を確認しましょう。


いつの時点で確認しますか

保険料の納付状況は、初診日の前日の時点で確認します。
対象となるのは、原則として、初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間です。
たとえば、初診日が8月中にある場合は、原則として6月分までの保険料納付状況を確認します。
初診日の前日を基準とするのは、病気やけがで医療機関を受診した後に、過去の未納保険料を納めて要件を満たすことを防ぐためです。
そのため、初診日より後に未納保険料を納めた場合、その納付によって障害年金の保険料納付要件を満たすことはできません。


保険料納付要件には2つの確認方法があります

保険料納付要件は、原則となる「3分の2要件」と、一定の条件を満たす場合に利用できる「直近1年間の特例」のいずれかで確認します。
両方を満たす必要はありません。
どちらか一方を満たしていれば、保険料納付要件を満たすことになります。


1.原則となる「3分の2要件」

初診日の前日において、初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間のうち、次の期間を合わせた期間が3分の2以上あることが必要です。

  • 保険料を納付した期間
  • 厚生年金保険の被保険者であった期間
  • 共済組合の組合員であった期間
  • 国民年金保険料の免除が承認されていた期間
  • 国民年金保険料の納付猶予が承認されていた期間
  • 学生納付特例が承認されていた期間

未納期間が一部あっても、納付済みの期間や免除などが承認された期間を合わせて3分の2以上あれば、この要件を満たす可能性があります。

簡単な考え方

確認対象となる加入期間が120か月ある場合、そのうち保険料納付済期間と免除期間などを合わせた期間が80か月以上あれば、3分の2要件を満たすことになります。
ただし、実際の判定では、初診日、加入記録、免除などの承認状況を公的な年金記録で確認します。
ご自身で概算した結果だけで判断せず、年金事務所などで確認してください。


2.「直近1年間の特例」

3分の2要件を満たしていない場合でも、一定の条件を満たせば、直近1年間の納付状況によって要件を確認できる特例があります。

次の条件を満たすことが必要です。

  • 初診日が2036年3月31日までにあること
  • 初診日において65歳未満であること
  • 初診日の前日において、初診日のある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がないこと

直近1年間に、保険料を納めた期間や、免除、納付猶予、学生納付特例などが承認されていた期間のみで、未納期間がなければ、この特例を満たす可能性があります。

確認する期間の例

初診日が2026年8月中にある場合は、原則として2025年7月分から2026年6月分までの1年間について、未納がないかを確認します。
初診月そのものや、その前月は確認対象に含まれません。


「未納」と「免除・猶予」は異なります

国民年金保険料を支払っていない期間があっても、そのすべてが未納として扱われるわけではありません。

未納期間

保険料を納めず、免除、納付猶予、学生納付特例などの申請も承認もされていない期間です。

全額免除期間

申請により、保険料の全額免除が承認されていた期間です。

一部免除期間

保険料の一部免除が承認されていた期間です。
ただし、一部免除後に必要となる残りの保険料を納付していない場合は、その期間が未納として扱われることがあります。

納付猶予期間

一定の要件により、保険料の納付猶予が承認されていた期間です。

学生納付特例期間

学生であることなどを理由に、保険料の納付猶予が承認されていた期間です。
全額免除、納付猶予、学生納付特例が正式に承認されていた期間は、保険料納付要件の確認に含まれます。
一方で、保険料を支払うことが難しかったとしても、免除などの手続きをせず、そのままになっていた期間は未納となる可能性があります。


一部免除を受けていた方は注意が必要です

国民年金保険料には、全額免除だけでなく、一部免除の制度があります。
一部免除が承認された場合は、免除されなかった残りの保険料を納付する必要があります。
残りの保険料を期限までに納付していない場合、その期間は保険料納付要件の確認上、未納として扱われることがあります。
「免除の通知を受けたので大丈夫だと思っていた」という場合でも、一部免除であったときは、残りの保険料を納めているか確認しましょう。


会社員や公務員だった期間について

会社員として厚生年金保険に加入していた期間や、共済組合の組合員であった期間は、保険料納付済期間に含まれます。
給与から保険料が控除されていた会社員期間について、国民年金保険料を別に納付する必要はありません。
転職、退職、独立などによって厚生年金から国民年金へ切り替わった時期がある方は、その切替後の国民年金保険料の納付状況も確認しましょう。
退職後に国民年金への加入手続きをしていなかった場合や、手続き後に保険料を納めていなかった場合は、未納期間が生じている可能性があります。


配偶者の扶養に入っていた期間について

会社員や公務員などに扶養されている配偶者で、国民年金の第3号被保険者として適切に記録されている期間は、保険料納付済期間として扱われます。
ただし、扶養に入っていたつもりでも、第3号被保険者の届出がされていなかったり、記録に漏れがあったりする場合があります。
結婚、離婚、配偶者の退職や転職、自身の収入の変化などがあった方は、第3号被保険者の記録も確認しておくと安心です。


20歳前に初診日がある場合

20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、保険料納付要件はありません。
これは、原則として20歳になる前は国民年金保険料を納める義務がないためです。
ただし、20歳前に会社員として厚生年金保険へ加入していた期間に初診日がある場合などは、年金制度に加入していた期間の初診日として扱われます。
また、20歳前の傷病による障害基礎年金には、本人の所得による支給制限など、通常の障害基礎年金とは異なる取扱いがあります。
「20歳前から症状があった」ということだけではなく、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日がいつかを確認することが大切です。


60歳以上65歳未満で初診日がある場合

日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満の方で、年金制度に加入していない期間に初診日がある場合も、障害基礎年金の対象となる可能性があります。
この場合も、原則として保険料納付要件を満たす必要があります。
老齢年金を繰り上げて受け取っている場合など、請求できないことがあるため、個別の確認が必要です。
年齢だけで判断せず、年金事務所などへご相談ください。


初診日後に保険料を納付した場合

保険料納付要件は、初診日の前日における納付状況で確認されます。
そのため、初診日を迎えた後に過去の未納保険料を納めても、その納付分を使って、すでに発生している傷病の保険料納付要件を満たすことはできません。
また、初診日後に免除や納付猶予を申請し、過去の期間について承認された場合の取扱いも、申請時期や承認内容によって異なる可能性があります。
障害年金の申請を考えてから慌てて納付するのではなく、まずは初診日の前日時点の年金記録を確認してください。


保険料をまとめて納めたことがある場合

国民年金保険料を後からまとめて納付したことがある方は、いつ納付したのかを確認する必要があります。
初診日の前日までに有効に納付されていた期間であれば、保険料納付済期間として確認される可能性があります。
一方、初診日の後に納めた場合は、今回の障害年金の保険料納付要件には反映されない可能性があります。
「現在は未納がなくなっている」というだけでは判断できないため、納付日を含めて確認しましょう。


年金記録はどのように確認しますか

保険料納付要件を確認するときは、記憶や手元の領収書だけでなく、公的な年金記録を確認します。

主な確認方法には、次のようなものがあります。

  • ねんきんネットで確認する
  • ねんきん定期便を確認する
  • 年金事務所で相談する
  • 街角の年金相談センターで相談する

ねんきんネットなどでは、月ごとの加入状況や納付状況を確認できます。

ただし、ご自身で見た記録だけでは、障害年金の納付要件を正確に判断しにくい場合があります。
初診日がわかったら、年金事務所などで「障害年金の保険料納付要件を確認したい」と伝えるとよいでしょう。


年金記録に気になる点がある場合

年金記録を確認したときに、次のような点が見つかることがあります。

  • 勤務していた会社の厚生年金加入記録がない
  • 配偶者の扶養に入っていた期間が第3号被保険者になっていない
  • 免除や納付猶予を申請したはずの期間が未納になっている
  • 転職や退職前後の記録が途切れている
  • 氏名変更前の記録が反映されていない
  • 海外居住期間がある
  • 共済組合の加入期間がある

記録に疑問がある場合は、勤務先の資料、給与明細、年金手帳、免除承認通知書など、手元に残っているものを整理して年金事務所へ相談しましょう。

記録が訂正されるかどうかは、確認できる資料や個別の状況によって判断されます。


ご自身で簡単に確認するとき

まずは、次の内容を整理してみましょう。

初診日について

  • 初診日はいつ頃か
  • 初診日に何歳だったか
  • 初診日に会社員、公務員、自営業、学生、無職など、どのような状況だったか
  • 初診日に加入していた年金制度は何か

年金加入記録について

  • 会社員や公務員だった期間
  • 国民年金へ加入していた期間
  • 配偶者の扶養に入っていた期間
  • 学生だった期間
  • 海外に住んでいた期間
  • 年金制度へ加入していなかった期間

保険料の状況について

  • 国民年金保険料を納付していた期間
  • 未納となっている期間
  • 全額免除または一部免除の期間
  • 納付猶予の期間
  • 学生納付特例の期間
  • 後から保険料を納付した期間

わからない部分があっても構いません。

実際の保険料納付要件は、公的な年金記録をもとに確認します。


よくある思い込み

未納期間が1か月でもあると申請できない

原則の3分の2要件では、一部に未納期間があっても、納付済期間と免除期間などを合わせて3分の2以上あれば要件を満たす可能性があります。
ただし、直近1年間の特例を使う場合は、確認対象となる直近1年間に未納期間がないことが必要です。

免除を受けていた期間は未納になる

全額免除、納付猶予、学生納付特例などが正式に承認されていた期間は、保険料納付要件の確認に含まれます。
ただし、一部免除を受けた場合に残りの保険料を納めていない期間は、未納として扱われることがあります。

後から保険料を納めれば大丈夫

保険料納付要件は初診日の前日時点で確認されます。
初診日後に過去の未納保険料を納めても、その傷病についての保険料納付要件には反映されません。

20歳前の未納も確認される

20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合、保険料納付要件はありません。
ただし、初診日や障害の状態など、ほかの要件を満たす必要があります。

会社員だったので確認は不要

会社員として厚生年金に加入していた期間は納付済期間に含まれますが、退職後や転職の間に国民年金の未納期間が生じている場合があります。
加入記録全体を確認することが大切です。


保険料納付要件を満たしているかわからないとき

保険料納付要件は、初診日と公的な年金記録を照らし合わせて確認します。
ご自身で計算した結果と、実際の判定が異なる場合もあります。

特に、次のような場合は個別の確認が必要です。

  • 初診日がはっきりしない
  • 未納期間が複数ある
  • 免除や納付猶予を受けたことがある
  • 一部免除後の保険料を納めたか覚えていない
  • 初診日後に保険料を納めている
  • 転職や退職を繰り返している
  • 配偶者の扶養に入っていた期間がある
  • 共済組合の加入期間がある
  • 海外居住期間がある
  • 20歳前から症状や受診歴がある
  • 年金記録に漏れや誤りがあると思われる

まずは初診日を整理し、年金事務所などで保険料納付要件を確認しましょう。


保険料納付要件について相談したい方へ

eNENKIN.netでは、障害年金について相談できる社会保険労務士の情報を掲載しています。
対応地域、相談方法、主な相談内容、費用の目安などを確認しながら、ご自身やご家族に合う相談先をお探しいただけます。

相談するときは、わかる範囲で次の内容を伝えるとよいでしょう。

  • 初診日または初診日と思われる時期
  • 初診日当時の年齢
  • 初診日当時の職業や年金加入状況
  • 国民年金保険料の未納期間があるか
  • 免除、納付猶予、学生納付特例を受けたことがあるか
  • 初診日後に保険料を納付したことがあるか
  • ねんきんネットやねんきん定期便を確認したか
  • 年金事務所で納付要件を確認したことがあるか

すべてを整理できていなくても相談できます。

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ご確認ください

保険料納付要件は、初診日、公的年金の加入期間、保険料の納付・免除状況などによって個別に確認されます。
このページの説明やご自身による計算だけで、要件を満たしているかを確定することはできません。
また、法令改正などによって、特例の期間や取扱いが変更される可能性があります。
正式な保険料納付要件については、年金事務所、街角の年金相談センター、または障害年金を扱う社会保険労務士へご相談ください。