ご本人に代わって調べているご家族も、ここから始められます
病気やけがによって、ご本人が障害年金について調べたり、相談したりすることが難しい場合があります。
「制度のことを本人にどう伝えればよいのだろう」
「家族だけで相談してもよいのだろうか」
「何を確認しておけばよいのかわからない」
と悩んでいるご家族も少なくありません。
障害年金について、最初からご本人がすべての手続きを行う必要はありません。
ご家族が先に制度を調べ、受診歴や日常生活の状況を整理し、相談先の情報を確認することもできます。
ただし、ご本人の年金記録や個別の手続きについて相談する場合には、本人の同意や委任状などが必要になることがあります。
まずは、ご本人の気持ちや体調に配慮しながら、できるところから準備を始めましょう。
家族だけで情報を集めてもよいのでしょうか
障害年金の制度、一般的な受給要件、申請の流れ、必要書類などについて、ご家族が先に調べることはできます。
また、年金事務所でも、本人の委任状がない場合に、制度や手続き方法についての一般的な相談をすることは可能です。
一方で、次のような本人の個人情報を含む相談では、原則として本人が作成した委任状などが必要です。
- 本人の年金加入記録
- 保険料の納付状況
- 過去の年金請求の内容
- 本人が受けている年金の情報
- 本人の障害年金請求に関する個別の確認
- 本人に代わる申請や届出
相談先によって必要な書類や対応範囲が異なるため、予約時などに確認しましょう。
家族だけで社会保険労務士へ相談できますか
社会保険労務士によっては、最初の相談を家族だけで受け付けている場合があります。
たとえば、
- ご本人が外出できない
- 人と話すことに強い負担がある
- 病識がなく、本人が制度を理解しにくい
- ご本人が申請を迷っている
- 家族が先に手続きの概要を知りたい
といった段階で、ご家族が相談できる場合があります。
ただし、本人の具体的な年金記録の確認、医療機関への問い合わせ、請求書類の作成・提出などを進める場合には、ご本人の同意や委任が必要になることがあります。
eNENKIN.netの掲載情報で、ご家族からの相談に対応しているかをご確認ください。
本人にどう話せばよいかわからないとき
障害年金のことを伝えると、ご本人が、
「自分は障害者ではない」
「年金を受けるほどではない」
「申請を勧められるのがつらい」
と感じることがあります。
無理に申請を勧めるよりも、まずは生活上の困りごとについて話すところから始めるとよいでしょう。
たとえば、
「最近、通院や仕事が大変そうだけれど、何か手伝えることはある?」
「利用できる制度があるか、一緒に調べてみない?」
「申請するかどうかは後で決めてもいいみたいだよ」
など、ご本人が選べる余地を残して伝える方法があります。
障害年金について相談したからといって、必ず申請しなければならないわけではありません。
ご本人の意思を尊重しながら、まず情報を確認することから始められます。
ご家族だからわかることがあります
ご本人は、病気や障害のある生活に慣れてしまい、自分が受けている援助や生活上の困りごとに気づきにくいことがあります。
また、体調や症状によっては、これまでの経過を正確に振り返ることが難しい場合もあります。
ご家族から見た次のような状況は、障害の状態を整理するうえで大切です。
- 以前と比べてできなくなったこと
- 家族が代わりに行っていること
- 声かけや見守りが必要なこと
- 一人では任せにくいこと
- 症状が悪い日の様子
- 通院や服薬の管理状況
- 仕事や外出後の状態
- お金や書類の管理状況
- 人との交流の変化
- 危険を感じた出来事
ご本人の話とご家族から見た状況が異なる場合もあります。
どちらかを否定するのではなく、それぞれが把握している事実を整理することが大切です。
日常生活で家族が手伝っていることを整理しましょう
次のような援助をしていないか、振り返ってみましょう。
食事について
- 食事を用意している
- 食べるように声をかけている
- 栄養の偏りを確認している
- 食事を一人で取ることが難しい
身の回りのことについて
- 入浴や着替えを促している
- 衣類や身だしなみを整えている
- 掃除や洗濯を代わりに行っている
- 部屋の衛生状態を確認している
通院や服薬について
- 通院に付き添っている
- 医療機関の予約を取っている
- 薬を準備している
- 服薬するよう声をかけている
- 医師へ生活状況を伝えている
お金や手続きについて
- 生活費を管理している
- 支払いや契約を代わりに行っている
- 郵便物や書類を確認している
- 行政手続きを手伝っている
外出や安全について
- 外出に付き添っている
- 送迎をしている
- 一人で行動しないよう見守っている
- 定期的に電話や訪問で様子を確認している
ご本人が自分で行っているように見えても、家族の声かけや準備があることで成り立っている場合があります。
援助がなかった場合に、ご本人の生活がどのようになるかも考えてみましょう。
離れて暮らしていても、援助している場合があります
ご本人と同居していなくても、家族が日常的に支えている場合があります。
たとえば、
- 毎日電話やメッセージで状態を確認している
- 定期的に訪問して掃除や洗濯をしている
- 食事や生活用品を届けている
- 通院日に付き添っている
- 金銭や契約を管理している
- 医療機関や支援機関と連絡を取っている
- 緊急時に対応している
といった援助です。
「一人暮らしをしているから、日常生活に問題はない」とは限りません。
離れて暮らす家族が行っている援助も、具体的に整理しておきましょう。
通院歴を一緒に整理しましょう
障害年金の申請では、初診日やこれまでの受診歴を確認します。
ご本人が思い出せない場合、ご家族の記憶や手元の記録が手がかりになることがあります。
次の内容をわかる範囲で確認してみましょう。
- 症状が現れ始めた時期
- 最初に相談した家族や学校、勤務先
- 初めて受診したと思われる医療機関
- 診療科
- その後に受診した医療機関
- 入院した時期
- 通院していなかった期間
- 病名が変わった時期
- 休職や退職をした時期
- 症状が悪化した時期
診察券、お薬手帳、医療費の領収書、当時の予定表、家族とのメッセージなどが、受診時期を思い出す手がかりになることがあります。
ただし、これらがそのまま正式な初診日の証明書類になるとは限りません。
医師に伝わっていない生活状況はありませんか
医師は診察時の様子や診療記録をもとに診断書を作成します。
しかし、短い診察時間の中では、ご家族が行っている援助や、家庭での状態が十分に伝わっていないことがあります。
たとえば、
- 診察の日だけ身なりを整えている
- 病院では落ち着いて話せるが、帰宅後は寝込んでいる
- 本人は「家事ができる」と話すが、実際には家族が準備している
- 薬は本人が管理していることになっているが、家族が毎日確認している
- 本人は仕事に行っているが、家ではほとんど何もできない
という場合があります。
ご本人の了承を得ながら、普段の生活状況や家族が行っている援助を、診察時に具体的に伝えておくことが大切です。
本人が診察でうまく話せない場合
ご本人が診察で緊張したり、困っていることをうまく伝えられなかったりすることがあります。
医療機関の方針やご本人の同意によりますが、家族が診察に同席できる場合があります。
同席する場合は、ご本人の話を遮ってすべて代わりに答えるのではなく、本人が説明できなかった部分を補足するようにしましょう。
事前に簡単なメモを作り、
- 最近困っていること
- 家族が手伝っていること
- 症状が悪い日の様子
- 仕事や学校での変化
- 通院や服薬の状況
などを整理しておく方法もあります。
本人に代わって年金事務所へ相談するとき
本人に代わって家族が年金事務所で個別相談を行う場合は、原則として本人が作成した委任状と、代理人となる家族の本人確認書類が必要です。
本人の基礎年金番号またはマイナンバーなどを確認できる書類も必要になる場合があります。
委任状がなくても、制度や一般的な手続き方法について相談することはできますが、本人の年金記録などを含む個別相談には応じてもらえない場合があります。
相談に行く前に、年金事務所へ必要書類を確認しましょう。
本人が委任状を作成できない場合
病気やけがなどにより、本人が委任状を作成できず、本人の委任の意思を確認できない場合があります。
日本年金機構では、このような場合について、障害者手帳、要介護認定の通知書、療育手帳、医療機関や施設の証明など、本人の状態を確認する書類を用意する方法を案内しています。
ただし、用意する書類によって、代理人に提供される情報や対応できる手続きの範囲が異なる場合があります。
本人が委任状を作成できない場合は、必要な書類を自己判断でそろえる前に、年金事務所へ相談してください。
本人が手続きを行うことが難しい場合
ご本人が請求書類を記入したり、医療機関や年金事務所と連絡を取ったりすることが難しい場合、ご家族が準備を手伝うことができます。
たとえば、
- 受診歴を一緒に整理する
- 必要書類を確認する
- 医療機関への問い合わせを手伝う
- 診断書の依頼に同行する
- 病歴・就労状況等申立書の内容を一緒に整理する
- 年金事務所への相談に同行する
- 提出書類の控えを保管する
といった支援です。
ただし、書類の署名、個人情報の確認、代理手続きなどでは、本人の同意や委任状が必要になることがあります。
成年後見制度などを利用している場合
ご本人に成年後見人、保佐人または補助人が選任されている場合は、代理権の範囲に応じて年金相談や手続きを行えることがあります。
年金事務所では、登記事項証明書や裁判所の審判書など、代理権を確認する書類が必要です。
保佐人や補助人の場合は、財産管理に関する代理権が付与されていることが必要となる場合があります。
必要書類や手続きの範囲については、年金事務所へ確認してください。
ご本人の意思を尊重しましょう
障害年金は、ご本人の生活を支えるための制度です。
家族が必要性を感じていても、ご本人が申請に抵抗を感じる場合があります。
緊急性が高い場合などを除き、
- なぜ調べようと思ったのか
- どのような制度なのか
- 申請するかどうかは本人が考えられること
- 相談しただけでは契約や申請にならないこと
- 家族がどこまで手伝えるか
を丁寧に伝えましょう。
「申請しなければならない」と結論を急ぐよりも、ご本人が安心して考えられる環境をつくることが大切です。
家族だけで抱え込まないことも大切です
病気や障害のあるご本人を支える中で、ご家族も疲れや不安を抱えることがあります。
受診への付き添い、生活の援助、仕事やお金の心配、将来への不安などが重なると、家族だけで対応することが難しくなることがあります。
障害年金だけでなく、次のような相談先や支援制度もあります。
- 医療機関の相談員
- 精神保健福祉士や医療ソーシャルワーカー
- 市区町村の障害福祉窓口
- 保健所や精神保健福祉センター
- 地域包括支援センター
- 相談支援事業所
- 就労支援機関
- 年金事務所
- 障害年金を扱う社会保険労務士
相談内容によって窓口は異なります。
ご本人だけでなく、ご家族自身の負担についても相談してよいのです。
ご家族が整理しておきたいこと
病気やけがについて
- 現在の病名
- 主な症状
- 症状が始まった時期
- 初めて受診したと思われる時期
- 現在通院している医療機関
- 入院や手術の経過
日常生活について
- 一人でできないこと
- 声かけが必要なこと
- 家族が代わりに行っていること
- 外出や人との交流の状況
- 通院や服薬の管理
- お金や書類の管理
- 症状が悪い日の様子
仕事や学校について
- 現在の就労・就学状況
- 欠勤、休職、休学、退職などの経過
- 職場や学校で受けている配慮
- 帰宅後や休日の状態
- 家族が行っている援助
障害年金について
- 過去に障害年金を申請したことがあるか
- 年金事務所へ相談したことがあるか
- 障害者手帳を持っているか
- ご本人が申請についてどのように考えているか
- 家族だけで先に相談したいこと
すべてを整理できていなくても構いません。
わからないことも、そのまま相談時に伝えることができます。
よくある疑問
家族だけで相談してもよいですか
一般的な制度や手続きについては、ご家族だけでも相談できます。
本人の年金記録などを含む個別相談や代理手続きでは、委任状などが必要になることがあります。
家族が代わりに申請できますか
ご家族が書類の準備を手伝うことはできます。
本人に代わって相談や手続きを行う場合は、委任状や代理権を確認する書類が必要になることがあります。
本人が障害年金を嫌がっています
無理に申請を進めるのではなく、まず生活上の困りごとや利用できる制度について話してみましょう。
相談しただけで、必ず申請することにはなりません。
本人が病気を認めていません
病気の種類や状態によっては、ご本人が自分の症状や生活上の問題を認識しにくいことがあります。
主治医や医療機関の相談員、地域の相談窓口などへ、ご家族から相談する方法もあります。
家族が日常生活の状態を書いてもよいですか
病歴・就労状況等申立書などの準備を、ご家族が手伝うことはできます。
ご本人と確認しながら、実際の状況を事実に沿って整理することが大切です。
障害年金について相談できる社会保険労務士を探す
eNENKIN.netでは、障害年金について相談できる社会保険労務士の情報を掲載しています。
対応地域、相談方法、ご家族からの相談への対応、主な相談内容、費用の目安などを確認しながら、ご本人やご家族の状況に合う相談先をお探しいただけます。
相談するときは、わかる範囲で次の内容を伝えるとよいでしょう。
- ご本人との関係
- 現在の病名や症状
- 初診日または初診日と思われる時期
- 現在通院している医療機関
- 日常生活で家族が手伝っていること
- 現在の就労・就学状況
- ご本人が相談や申請についてどのように考えているか
- 家族だけで相談したい理由
- 委任状を作成できる状態か
- 過去に障害年金を申請したことがあるか
すべてを整理できていなくても相談できます。
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相談や申請支援を依頼する場合は、相談者またはご本人と、各社会保険労務士または所属事務所との直接契約となります。
ご確認ください
ご家族が一般的な制度や手続きについて相談することはできますが、ご本人の年金記録を含む個別相談や代理手続きでは、原則として本人が作成した委任状などが必要です。
本人が病気やけがなどの理由で委任状を作成できない場合は、別の確認書類によって相談できることがありますが、対応できる内容は個別に異なります。
必要な書類や代理手続きの範囲については、相談前に年金事務所、街角の年金相談センター、または相談する社会保険労務士へご確認ください。