すべてを正確に思い出せなくても大丈夫です

障害年金の手続きでは、障害の原因となった病気やけがについて、症状が現れてから現在までの受診経過を整理します。

通院期間が長い方や、複数の医療機関を受診している方は、

「最初に受診した病院を思い出せない」
「転院した時期がわからない」
「通院していなかった期間をどう書けばよいのかわからない」

と困ることがあります。

最初から正確な年月日をすべて思い出す必要はありません。
まずは、覚えている医療機関や出来事を一つずつ書き出し、あとから診察券やお薬手帳などを確認しながら、受診の順番を整えていきましょう。


通院歴の整理が必要なのはなぜですか

障害年金では、主に次のことを確認するために通院歴を整理します。

  • 初診日を確認する
  • 初診時の医療機関を確認する
  • 障害認定日を確認する
  • 診断書を依頼する医療機関を確認する
  • 病歴・就労状況等申立書を作成する
  • 症状や治療の経過を整理する

病歴・就労状況等申立書には、障害年金を請求する傷病について、発病から現在までの受診経過や就労状況などを記載します。日本年金機構の様式でも、受診した期間だけでなく、受診していなかった期間を含めて経過を記載する構成になっています。


まずは大まかな流れを書き出しましょう

最初から細かな年月日を埋めようとすると、整理が難しくなることがあります。

まずは、次のような大きな出来事を書き出してみましょう。

  • 最初に症状を感じた時期
  • 最初に医療機関を受診した時期
  • 別の医療機関へ転院した時期
  • 入院した時期
  • 症状が悪化した時期
  • 仕事や学校を休んだ時期
  • 休職、復職、退職した時期
  • 通院を中断した時期
  • 現在の医療機関を受診し始めた時期

「正確な日はわからないが、○年頃」といった書き方から始めても構いません。


当時の出来事と結び付けて思い出しましょう

受診した年月を思い出しにくい場合は、その頃の生活上の出来事と結び付けて考えると整理しやすくなります。

たとえば、

  • 入学や卒業をした頃
  • 就職や転職をした頃
  • 結婚や出産をした頃
  • 引っ越しをした頃
  • 休職する少し前
  • 退職した後
  • 家族の行事があった頃
  • 大きな災害や社会的な出来事があった頃

などです。

最初は「春頃」「年末頃」などのおおよその時期でもよいので、わかる範囲から並べてみましょう。


医療機関ごとに整理しましょう

受診した医療機関が複数ある場合は、医療機関ごとに次の項目を書き出します。

医療機関名

正式名称がわからない場合は、覚えている名称や所在地から始めます。

診療科

内科、心療内科、精神科、整形外科など、受診した診療科を記載します。

受診期間

初めて受診した時期と、最後に受診した時期を整理します。

受診したきっかけ

どのような症状や出来事をきっかけに受診したのかを記載します。

治療内容

診察、投薬、検査、手術、入院、リハビリなど、覚えている治療内容を書き出します。

転院した理由

紹介を受けた、引っ越した、治療内容を変えた、医療機関が閉院したなど、転院の理由を整理します。


通院歴の整理表

次のような表を作ると、受診の順番が見えやすくなります。

期間 医療機関・診療科 主な症状・治療 生活・仕事の状況
○年○月頃 ○○医院・内科 不眠、食欲低下。薬を処方された 遅刻や欠勤が増えた
○年○月頃~○年○月頃 △△クリニック・心療内科 うつ病と診断。通院と服薬 休職した
○年○月頃~現在 □□病院・精神科 定期通院。薬物療法 短時間勤務、家族の援助あり

すべての欄を最初から埋める必要はありません。
不明な部分は「不明」「○年頃」などと記載し、あとから確認します。


病名が変わっている場合

最初に受診したときの病名と、現在の病名が異なることがあります。
たとえば、最初は不眠、頭痛、動悸、疲労などで内科を受診し、その後、心療内科や精神科で別の病名が診断される場合があります。

このような場合は、病名ごとに受診歴を分断するのではなく、

  • 最初にどのような症状があったか
  • どの医療機関を受診したか
  • その後どのように症状や診断が変わったか
  • 現在の傷病との関係がどのように説明されているか

を時系列に整理しましょう。

最初の病名と現在の病名が異なるという理由だけで、初診日を自分で決めることはできません。初診日の判断は、受診時の症状、診療記録、傷病の関係などを踏まえて個別に確認されます。


通院していなかった期間も記録しましょう

途中で通院していなかった期間がある場合も、その期間を省略せずに整理します。

次のようなことを書き出してみましょう。

  • 通院をやめた時期
  • 通院しなかった理由
  • 薬を飲んでいたか
  • 症状がなくなっていたか
  • 症状はあったが受診できなかったか
  • 仕事や日常生活をどのように送っていたか
  • 再び受診したきっかけ

病歴・就労状況等申立書では、発病から現在までの経過を期間を空けずに整理するため、受診していない期間も重要です。

通院が途切れているからといって、必ず後の受診日が新しい初診日になるわけではありません。ご自身だけで判断せず、治療経過や症状の状態を含めて確認しましょう。


最初の医療機関を確認しましょう

障害年金では、障害の原因となった傷病について、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日を初診日として確認します。
現在通院している医療機関より前に、同じ病気やけがについて別の医療機関を受診していた場合は、最初の医療機関までさかのぼる必要があります。
現在の医療機関と初診時の医療機関が異なる場合は、一般的に、初診日を明らかにするための受診状況等証明書を初診時の医療機関へ依頼します。

▶︎▶︎初診日について詳しく見る


手元にあるものを確認しましょう

次のようなものが、医療機関や受診時期を思い出す手がかりになることがあります。

  • 診察券
  • お薬手帳
  • 薬局でもらった薬の説明書
  • 医療費の領収書
  • 医療費通知
  • 紹介状の控え
  • 健康診断の結果
  • 入院や手術に関する書類
  • 会社へ提出した診断書の控え
  • 休職・復職に関する書類
  • 当時の予定表や日記
  • 家族とのメールやメッセージ
  • 預金通帳や家計簿の支払記録

これらは、医療機関や受診時期を探す手がかりになるものです。

それぞれが正式な初診日証明書類として認められるかどうかは、資料の内容やほかの書類との整合性などによって個別に確認されます。初診時の医療機関による証明が得られない場合は、請求者の状況に応じた証明資料を検討する必要があります。


ご家族にも確認してみましょう

ご本人が受診時期を思い出せない場合、ご家族が当時の状況を覚えていることがあります。

次のようなことを確認してみましょう。

  • 最初に体調の変化を感じた時期
  • 病院へ行くよう勧めた時期
  • 通院に付き添ったことがあるか
  • 薬を飲み始めた時期
  • 入院した時期
  • 仕事や学校を休み始めた時期
  • 症状が悪化した時期
  • 転院や引っ越しをした時期

家族の記憶は、受診歴を整理する手がかりになります。

ただし、ご家族の話だけで正式な初診日が確定するわけではありません。


医療機関へ問い合わせるとき

受診したと思われる医療機関がわかったら、診療記録が残っているか確認します。

問い合わせる前に、次の情報を整理しておきましょう。

  • 本人の氏名
  • 生年月日
  • 受診当時の氏名
  • 受診当時の住所
  • 受診していたと思われる時期
  • 診療科
  • 当時の症状や病名
  • 入院や手術の有無
  • 障害年金の手続きに関する確認であること

医療機関によっては、電話では回答できない場合や、本人確認書類、委任状などが必要になることがあります。

最初から証明書の作成を依頼するのではなく、まずは診療記録が残っているかを確認し、必要な書類を年金事務所などで確認してから正式に依頼すると安心です。


医療機関が閉院している場合

最初に受診した医療機関が閉院している場合でも、すぐに諦める必要はありません。

次のようなことを確認してみましょう。

  • 医療機関が移転や名称変更をしていないか
  • 別の医療機関が診療記録を引き継いでいないか
  • 当時の医師が別の医療機関で診療していないか
  • 管轄の保健所などに情報がないか
  • 次に受診した医療機関の診療記録に、以前の受診歴が書かれていないか

初診時の医療機関による証明を得ることが難しい場合には、受診状況等証明書が添付できない申立書や、第三者証明など、状況に応じた確認方法が設けられています。利用できる資料や必要な組み合わせは個別に異なります。

▶︎▶︎初診日の証明について詳しく見る


次の医療機関の記録も確認しましょう

最初の医療機関の記録が残っていない場合でも、次に受診した医療機関の診療記録に、

  • 前の医療機関名
  • 前の医療機関を受診した時期
  • 当時の病名や症状
  • 紹介元の医療機関
  • 服用していた薬

などが記載されていることがあります。

次の医療機関で受診状況等証明書などを取得する場合もありますが、その書類だけで初診日が認められるかどうかは、記載内容やほかの資料によって個別に確認されます。


就労や生活の経過も一緒に整理しましょう

通院歴と、仕事や日常生活の変化を並べると、症状の経過がわかりやすくなります。

たとえば、

  • 症状が出始めて遅刻や欠勤が増えた
  • 初めて受診した後に休職した
  • 転院した頃に一人暮らしが難しくなった
  • 入院後に仕事内容を変更してもらった
  • 通院を中断していた期間も家族の援助を受けていた

といった変化です。

病歴・就労状況等申立書には、受診経過だけでなく、就労や日常生活の状況も記載します。


病歴・就労状況等申立書へ移すとき

通院歴の整理ができたら、病歴・就労状況等申立書へ記載します。

記載するときは、次の点に注意しましょう。

  • 発病から現在までを時系列に記載する
  • 受診していない期間も省略しない
  • 医療機関名と受診期間を確認する
  • 治療内容や症状の変化を書く
  • 仕事や学校への影響を書く
  • 日常生活で困っていたことを書く
  • 家族などから受けていた援助を書く
  • 診断書や受診状況等証明書との関係を確認する

書類同士の内容を無理に同じにする必要はありませんが、医療機関名や受診期間などに大きな食い違いがないか確認しましょう。

▶︎▶︎申請の流れと必要書類を見る


通院歴を整理するときの注意点

記憶だけで初診日を確定しない

ご本人や家族の記憶は大切な手がかりですが、それだけで正式な初診日が確定するとは限りません。

病名だけで受診歴を分けない

最初と現在の病名が異なる場合でも、症状や傷病の関係を確認する必要があります。

通院していない期間を省略しない

受診していなかった理由や、その間の症状・生活状況も整理しましょう。

証明書を先に依頼しない

必要な様式や証明してもらう医療機関を確認してから、書類を依頼しましょう。

原本を提出する前にコピーする

再発行が難しい資料は、提出前にコピーや写真を残しておきましょう。


よくある疑問

正確な日付がわからなくても整理できますか

まずは「○年頃」「春頃」など、おおよその時期から整理できます。
その後、医療機関の記録や手元の資料を確認します。

受診した医療機関をすべて書く必要がありますか

障害年金を請求する傷病に関係する受診歴は、原則として発病から現在まで整理します。
どこまで記載する必要があるか迷う場合は、年金事務所や社会保険労務士へ確認しましょう。

短期間だけ受診した病院も必要ですか

短期間の受診でも、その医療機関が初診時の医療機関である場合や、傷病の経過に関係する場合があります。
自己判断で省略しない方が安心です。

通院していなかった期間は書かなくてもよいですか

通院していなかった期間も、その理由や当時の症状、生活・仕事の状況を整理します。

診察券があれば初診日を証明できますか

診察券は受診先や時期を探す手がかりになりますが、診察券だけで初診日が証明できるとは限りません。
正式な確認方法は、受診歴やほかの資料によって異なります。


通院歴の整理について相談したい方へ

eNENKIN.netでは、障害年金について相談できる社会保険労務士の情報を掲載しています。
対応地域、相談方法、主な相談内容、費用の目安などを確認しながら、ご自身やご家族の状況に合う相談先をお探しいただけます。

相談するときは、わかる範囲で次の内容を伝えるとよいでしょう。

  • 現在の病名
  • 症状が始まったと思われる時期
  • 最初に受診したと思われる医療機関
  • これまでに受診した医療機関
  • 通院していなかった期間
  • 入院や手術の経過
  • 手元に残っている診察券やお薬手帳など
  • 最初の医療機関が現在もあるか
  • 過去に障害年金を申請したことがあるか

すべてを正確に整理できていなくても相談できます。

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相談や申請支援を依頼する場合は、相談者と各社会保険労務士または所属事務所との直接契約となります。


ご確認ください

通院歴を整理することは、初診日や受診経過を確認するための準備です。
このページで整理した内容や、診察券、お薬手帳などの手がかりだけで、正式な初診日が確定するものではありません。
初診日の判断や必要な証明書類は、傷病の経過、医療機関の記録、提出できる資料などによって個別に異なります。
正式な確認や書類の準備については、年金事務所、街角の年金相談センター、または障害年金を扱う社会保険労務士へご相談ください。