働いていることだけで、障害年金の対象外になるわけではありません

障害年金は、仕事をしている方でも請求できる制度です。
正社員として働いている、短時間勤務をしている、障害者雇用で働いているなど、就労しているという事実だけで、障害年金を受けられないと決まるわけではありません。
一方で、仕事をしている状況は、病気やけがによって日常生活や労働にどの程度の制限が生じているかを確認するための材料になる場合があります。

特に精神障害や知的障害などでは、

  • どのような仕事をしているか
  • どのくらいの時間働いているか
  • 安定して勤務を続けられているか
  • 職場からどのような援助や配慮を受けているか
  • 仕事以外の日常生活をどのように送っているか

なども含めて、障害の状態が総合的に確認されます。

「働いているから申請できない」と決めつけず、実際の働き方や生活の状況を整理することが大切です。


障害年金は、収入が少ない人だけの制度ではありません

一般的な障害基礎年金や障害厚生年金は、原則として、給与や事業収入があるという理由だけで支給停止になる制度ではありません。
所得や収入の金額だけで、障害等級が決まるわけでもありません。
ただし、仕事をしている状況は、障害の程度や労働能力を確認する材料となることがあります。
また、20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある「20歳前傷病による障害基礎年金」には、受給者本人の所得による支給制限があります。
ご自身の障害年金がどの制度に該当するのかを確認したうえで考える必要があります。


どのような働き方をしているかが大切です

同じように「働いている」といっても、その実情は一人ひとり異なります。

たとえば、次のような働き方があります。

  • 一般雇用でフルタイム勤務をしている
  • 障害者雇用で働いている
  • 短時間勤務や週数日の勤務をしている
  • 就労継続支援A型・B型を利用している
  • 家族の事業を手伝っている
  • 在宅勤務をしている
  • 自営業やフリーランスとして働いている
  • 休職と復職を繰り返している
  • 就労移行支援を利用している
  • 医療機関のデイケアやリワークを利用している

雇用形態や名称だけで判断されるわけではありません。

実際の仕事内容、勤務時間、職場で受けている援助や配慮、勤務の継続状況などを具体的に確認することが大切です。


職場で受けている配慮を整理しましょう

仕事を続けられていても、職場からさまざまな配慮や援助を受けている場合があります。

たとえば、次のような配慮です。

  • 勤務時間を短くしてもらっている
  • 出勤日数を減らしてもらっている
  • 残業や夜勤を免除されている
  • 通院日に休めるようにしてもらっている
  • 仕事内容を限定してもらっている
  • 責任の重い仕事を外してもらっている
  • 一人で判断する仕事を避けてもらっている
  • 上司や同僚が作業を確認している
  • 指示を一つずつ出してもらっている
  • 休憩を多く取らせてもらっている
  • 人との接触が少ない場所で働いている
  • 在宅勤務を認めてもらっている
  • 遅刻、早退、欠勤について配慮を受けている

こうした配慮によって働くことができている場合は、その内容を具体的に整理しましょう。

配慮を受けていることは、能力がないという意味ではありません。
病気や障害がある中で、どのような支援があれば仕事を続けられるのかを示す大切な情報です。


安定して働けているかも確認されます

勤務を続けている期間だけでなく、実際に安定して働けているかも大切です。

次のような状況がないか確認してみましょう。

  • 欠勤が多い
  • 遅刻や早退を繰り返している
  • 体調不良による休職歴がある
  • 復職しても長く続かない
  • 仕事中に頻繁に休憩が必要になる
  • 業務上のミスが増えている
  • 仕事量を減らしてもらっている
  • 周囲の援助がなければ業務を続けられない
  • 症状が悪化すると長期間休む
  • 転職を繰り返している
  • 試用期間や短期間で退職することが多い

精神障害や知的障害の等級判定では、1年を超えて就労が続いている場合でも、就労の頻度や、仕事を続けるために受けている援助・配慮などを踏まえて判断することとされています。

単に「何年間勤めているか」だけでなく、どのような状態で勤務を続けているかが大切です。


勤務時間や給与額だけでは判断できません

「フルタイムだから対象外」
「収入が多いから受けられない」
「短時間勤務だから受けられる」

と、一つの条件だけで判断することはできません。
勤務時間や給与額は、働き方を確認する情報の一つですが、それだけで障害の状態が決まるわけではありません。

たとえばフルタイムで勤務していても、

  • 業務内容が限定されている
  • 周囲から常に援助を受けている
  • 欠勤や早退が多い
  • 帰宅後は何もできず寝込んでいる
  • 家族の援助がなければ生活できない

という場合があります。

反対に、勤務時間が短くても、病気や障害とは別の事情で短時間勤務を選んでいることもあります。
働いている時間や収入だけでなく、病気や障害が仕事と生活にどのような影響を与えているかを整理しましょう。


仕事以外の生活も大切です

仕事へ行けているため、日常生活にも問題がないと思われることがあります。
しかし、仕事をするために力を使い切り、帰宅後や休日はほとんど何もできない方もいます。

たとえば、次のような状況です。

  • 帰宅するとすぐに横になってしまう
  • 休日は一日中寝ている
  • 食事を家族に用意してもらっている
  • 掃除や洗濯ができない
  • 入浴や着替えができない日がある
  • 薬を家族に管理してもらっている
  • 家族に起こしてもらわなければ出勤できない
  • 通勤に付き添いや送迎が必要である
  • お金や書類を家族に管理してもらっている
  • 仕事以外の外出や人付き合いがほとんどできない

仕事中の状況だけでなく、仕事を続けるために家庭でどのような援助を受けているかも整理しておきましょう。


一般雇用と障害者雇用

一般雇用か障害者雇用かという雇用区分は、就労状況を確認する情報の一つです。
障害者雇用で働いているから障害年金を受けられる、一般雇用だから受けられない、というものではありません。
一般雇用でも、病気や障害について職場に伝え、勤務時間や仕事内容について配慮を受けている場合があります。
一方、障害者雇用であっても、仕事内容や勤務状況、受けている援助の内容は一人ひとり異なります。

次のことを具体的に整理しましょう。

  • 採用時に病気や障害を伝えているか
  • どのような雇用枠で採用されたか
  • 仕事内容
  • 勤務時間と勤務日数
  • 職場が病気や障害を把握しているか
  • どのような配慮を受けているか
  • 支援機関が職場と連携しているか
  • 配慮がなければ仕事を続けられるか

就労継続支援A型・B型を利用している場合

就労継続支援A型・B型などの障害福祉サービスを利用している場合も、その利用だけで障害等級が決まるわけではありません。
利用日数、作業時間、作業内容、工賃や賃金、欠席状況、支援員から受けている援助などを含めて、実際の状況を確認します。

たとえば、

  • 週に何日利用しているか
  • 一日に何時間作業しているか
  • どのような作業をしているか
  • 作業中にどの程度の援助が必要か
  • 体調不良による欠席があるか
  • 一人で通所できるか
  • 帰宅後にどのような状態になるか

などを整理しておきましょう。


自営業・フリーランスの場合

自営業やフリーランスの場合は、勤務時間や職場の配慮が見えにくいことがあります。
仕事をしているという事実だけでなく、次のような実情を整理しましょう。

  • 実際に仕事をしている日数と時間
  • 自分で行っている業務
  • 家族や従業員に任せている業務
  • 顧客対応や金銭管理を一人でできるか
  • 納期や予定を守れるか
  • 体調不良で仕事ができない期間
  • 売上と実際の就労状況
  • 家族の援助がなければ事業を続けられるか

事業主として登録されていることや、売上があることだけで、実際の労働能力を判断できるわけではありません。
仕事内容と援助の状況を具体的に説明することが大切です。


休職中の場合

会社に在籍していても、現在休職している方もいます。

休職中の場合は、次のことを整理しましょう。

  • 休職を始めた時期
  • 休職に至った症状や経緯
  • 休職前の欠勤、遅刻、早退の状況
  • 現在の治療内容
  • 復職の見通し
  • 復職支援やリワークの利用状況
  • 過去にも休職したことがあるか
  • 復職後に再び休職したことがあるか
  • 傷病手金などを受けているか

会社に在籍しているだけで、「働いている」と同じ状態になるわけではありません。

現在、実際に仕事をしているか、どのような療養生活を送っているかを整理しましょう。


傷病手当金と障害年金

病気やけがで仕事を休み、健康保険から傷病手当金を受けている方も、障害年金を請求できる可能性があります。
ただし、同じ傷病について障害厚生年金などと傷病手当金を同じ期間に受ける場合は、支給額が調整されることがあります。
障害年金を受けると、必ず傷病手当金がすべて止まるとは限りません。
受給している年金の種類や金額、対象期間などによって取扱いが異なります。
傷病手当金を受けている方は、加入している健康保険や年金事務所などに確認してください。


受給中に働き始めた場合

障害年金を受けている方が就職したり、勤務時間を増やしたりしても、その時点で自動的に障害年金が停止されるわけではありません。
ただし、障害状態確認届による更新などの際には、現在の傷病の状態や日常生活、就労状況などが確認されます。
その結果、障害の程度が以前より軽くなり、障害等級に該当しないと判断された場合は、等級の変更や支給停止となる可能性があります。

反対に、働き始めた後も、

  • 強い配慮を受けている
  • 安定して勤務できていない
  • 日常生活に大きな支障がある
  • 症状や治療内容に大きな変化がない

といった状況がある場合は、その実情がわかるように整理しておくことが大切です。


更新時に確認しておきたいこと

障害年金には、一定期間ごとに障害の状態を確認する更新手続きが必要となる場合があります。
働いている方は、更新の診断書を依頼する前に、次の内容を整理してみましょう。

  • 就職または復職した時期
  • 雇用形態
  • 勤務時間と勤務日数
  • 仕事内容
  • 職場で受けている配慮
  • 欠勤、遅刻、早退の状況
  • 休職の有無
  • 仕事を続けるための援助
  • 帰宅後や休日の状態
  • 家族から受けている援助
  • 前回の診断書作成時から変わったこと

医師が就労状況を十分に把握していない場合もあります。

普段の診察から、勤務状況や職場の配慮、仕事後の生活状態を具体的に伝えておきましょう。


医師に伝えておきたい就労状況

診察では、単に「働いています」と伝えるだけでなく、実際の働き方を説明することが大切です。

たとえば、次のように具体的に伝えましょう。

  • 週3日、一日4時間勤務している
  • 疲労が強く、勤務翌日はほとんど動けない
  • 上司が仕事の優先順位を毎日指示している
  • 電話対応や対人業務を免除されている
  • 月に数回、体調不良で欠勤している
  • 家族に起こしてもらい、職場まで送ってもらっている
  • 復職したが、短期間で再休職した
  • 在宅勤務で、体調に合わせて休憩している

症状を重く見せたり軽く見せたりせず、実際の状況を正確に伝えることが大切です。


病歴・就労状況等申立書に書く内容

障害年金の請求では、病歴・就労状況等申立書に、これまでの病歴や就労状況などを記載します。
働いている方は、次のような内容を整理しておきましょう。

  • 病気やけがによって仕事に支障が出始めた時期
  • 仕事内容
  • 勤務時間と勤務日数
  • 欠勤、遅刻、早退
  • 休職や退職の経過
  • 転職した理由
  • 職場から受けた配慮
  • 業務を行うために受けている援助
  • 仕事をした後の日常生活への影響

「会社員」「パート」などの雇用形態だけでなく、実際にどのような状態で働いているかを事実に沿って記載します。


勤務先の資料が役立つこともあります

就労状況を整理するために、次のような資料が手がかりになることがあります。

  • 雇用契約書
  • 労働条件通知書
  • 給与明細
  • 出勤簿や勤務表
  • 休職・復職に関する会社の通知
  • 会社へ提出した診断書
  • 産業医の意見書
  • 障害者雇用に関する支援計画
  • 就労支援機関が作成した記録
  • 職場で受けている配慮がわかる書類

これらを提出すれば、必ず障害年金の判断に使用されるというものではありません。

まずは働き方を整理する資料として確認し、正式な提出が必要かは年金事務所や社会保険労務士へ相談しましょう。


働いている方が整理しておきたいこと

雇用について

  • 一般雇用か障害者雇用か
  • 正社員、契約社員、パートなどの雇用形態
  • 就職または復職した時期
  • 勤務日数と勤務時間
  • 仕事内容
  • 給与の状況

勤務状況について

  • 欠勤、遅刻、早退の回数
  • 休職歴
  • 転職や退職の経過
  • 仕事のミスや困りごと
  • 安定して勤務できているか

配慮や援助について

  • 短時間勤務
  • 業務内容の限定
  • 休憩や通院への配慮
  • 上司や同僚からの援助
  • 支援機関との連携
  • 家族による通勤や生活の援助

仕事以外の生活について

  • 帰宅後の状態
  • 休日の過ごし方
  • 食事、掃除、洗濯などの状況
  • 服薬や通院の管理
  • 家族から受けている援助
  • 仕事以外の外出や交流

すべてを一度にまとめる必要はありません。

まずは、仕事を続けるために受けている配慮や、無理をしていることから書き出してみましょう。


よくある思い込み

正社員として働いていると受けられない

正社員であることだけで、障害年金の対象外になるわけではありません。
実際の仕事内容、勤務状況、職場で受けている配慮、日常生活の状況などが確認されます。

給与が一定額を超えると支給停止になる

一般的な障害基礎年金・障害厚生年金には、給与額だけを理由とする一律の支給停止基準はありません。
ただし、20歳前傷病による障害基礎年金には、本人の所得による支給制限があります。

障害者雇用なら必ず受給できる

障害者雇用であることだけで、障害等級が決まるわけではありません。
勤務状況、援助や配慮、日常生活への影響などを含めて個別に確認されます。

就職したら、すぐに年金が止まる

就職した時点で、自動的に障害年金が停止されるわけではありません。
更新などの際に、障害の状態や就労状況が確認され、障害等級に該当するかが判断されます。

長期間働いていると対象にならない

長期間勤務しているという事実だけでは判断されません。
勤務を継続するために受けている援助や配慮、勤務の頻度、安定性なども確認されます。


働きながらの障害年金について相談したい方へ

eNENKIN.netでは、障害年金について相談できる社会保険労務士の情報を掲載しています。
対応地域、相談方法、主な相談内容、費用の目安などを確認しながら、ご自身やご家族の状況に合う相談先をお探しいただけます。

相談するときは、わかる範囲で次の内容を伝えるとよいでしょう。

  • 現在の病名や症状
  • 雇用形態
  • 勤務時間と勤務日数
  • 仕事内容
  • 職場で受けている配慮
  • 欠勤、遅刻、早退の状況
  • 休職や転職の経過
  • 帰宅後や休日の状態
  • 家族から受けている援助
  • 現在、障害年金を受けているか
  • 傷病手当金を受けているか

すべてを整理できていなくても相談できます。

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ご確認ください

働いている方の障害年金は、雇用形態、勤務時間、給与額など、一つの条件だけで受給の可否や障害等級が決まるものではありません。
傷病ごとの障害認定基準に基づき、症状、治療経過、日常生活、仕事内容、勤務状況、職場で受けている援助や配慮などを含めて個別に審査されます。
このページに掲載した例に当てはまることだけで、受給の可否や障害等級を判断することはできません。
正式な認定基準やご自身の手続きについて確認したい場合は、年金事務所、街角の年金相談センター、または障害年金を扱う社会保険労務士へご相談ください。