初診日は、障害年金の手続きを考えるうえで大切な日です
障害年金について調べると、最初に確認する項目の一つとして「初診日」という言葉が出てきます。
初診日とは、障害の原因となった病気やけがについて、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日のことです。
現在通院している医療機関を初めて受診した日とは限りません。
同じ病気やけがで複数の医療機関を受診している場合は、原則として、一番初めに診療を受けた日までさかのぼって確認します。
正確な日付をすぐに思い出せなくても、慌てる必要はありません。
まずは、これまでの受診歴をわかる範囲で整理してみましょう。
初診日は、なぜ重要なのでしょうか
初診日は、単に最初に医療機関へ行った日を確認するだけのものではありません。
障害年金の手続きでは、主に次のことを確認する基準になります。
1.障害年金の種類
初診日に国民年金へ加入していた場合は、障害基礎年金の対象となる可能性があります。
初診日に厚生年金へ加入していた場合は、障害厚生年金の対象となる可能性があります。
また、20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、20歳前傷病による障害基礎年金の対象となる可能性があります。
2.保険料の納付状況
障害年金では、原則として、初診日の前日時点における年金保険料の納付状況を確認します。
そのため、初診日がいつなのかによって、確認の対象となる保険料の期間も変わります。
3.障害の状態を確認する時期
障害年金では、初診日を基準として「障害認定日」を確認します。
障害認定日は、原則として初診日から1年6か月を経過した日です。
ただし、病気やけがの内容によっては、1年6か月を経過する前に障害認定日となる場合があります。
このように、初診日は、障害年金の種類、保険料納付要件、障害の状態を確認する時期に関わる重要な日です。
初診日と発病日は同じとは限りません
初診日は、病気やけがが始まった日ではありません。
発病日
病気の症状が現れた日や、病気が始まったと考えられる日です。
初診日
その病気やけがについて、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日です。
たとえば、体調の異変を感じてからしばらく自宅で様子を見て、その後に医療機関を受診した場合、症状が始まった日と初診日は異なります。
障害年金の請求では、ご本人の記憶だけではなく、医療機関の記録などをもとに初診日を確認します。
現在の医療機関を受診した日とは限りません
現在通院している医療機関より前に、同じ病気やけがについて別の医療機関を受診していた場合は、最初の医療機関を受診した日が初診日になる可能性があります。
たとえば、最初に近所の内科を受診し、その後、専門の医療機関を案内された場合は、専門の医療機関ではなく、最初に内科を受診した日が初診日となるのが原則です。
現在の主治医から、
「以前に別の医療機関を受診していませんでしたか」
と確認された場合は、その医療機関や受診時期をできるだけ思い出してみましょう。
最初の病名が現在と違う場合
最初に医療機関を受診したときの病名と、現在の病名が異なることがあります。
たとえば、最初は不眠、頭痛、動悸、疲労などの症状で内科を受診し、その後に精神科や心療内科で別の病名が診断される場合があります。
このような場合、最初と現在の病名が違うという理由だけで、後の医療機関を初診と決めることはできません。
最初に受診した症状と現在の傷病との関係、診療記録の内容、治療の経過などを確認する必要があります。
ご自身だけで判断することが難しい場合は、年金事務所や障害年金を扱う社会保険労務士へ相談しましょう。
一度通院が途切れている場合
過去に医療機関を受診した後、長期間通院していない時期があり、その後に再び治療を始めている方もいます。
通院が途切れているからといって、必ず後の受診日が新しい初診日になるわけではありません。
一方で、以前の傷病がいったん治ったと考えられ、その後に新たに発症したと判断される場合には、後の受診日が初診日となる可能性もあります。
この判断は、通院していなかった期間の長さだけで決まるものではありません。
症状の経過、治療の内容、服薬の有無、仕事や日常生活の状況などを含めて、個別に確認されます。
健康診断を受けた日は初診日になりますか
健康診断で異常を指摘された日と、その後に医療機関で診療を受けた日が異なることがあります。
健康診断を受けただけで、その日が必ず初診日になるわけではありません。
一方で、初診時の医療機関による証明が得られない場合には、健康診断の記録が初診日を確認するための参考資料となる可能性があります。
健康診断の結果票などが残っている場合は、処分せずに保管しておきましょう。
実際の初診日は、健康診断の内容、その後の受診状況、医療機関の記録などを踏まえて個別に確認されます。
初診日はどのように証明しますか
障害年金を請求するときは、障害の原因となった病気やけがについて、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日を明らかにする必要があります。
原則として、初診時の医療機関が作成した「受診状況等証明書」または診断書によって初診日を確認します。
現在診断書を作成する医療機関と、初診時の医療機関が異なる場合は、一般的に、初診時の医療機関へ受診状況等証明書の作成を依頼します。
一方、現在の医療機関が初診時から継続して診療しており、その医療機関が作成する診断書で初診日を確認できる場合など、受診状況等証明書が不要になることもあります。
必要な書類は一人ひとりの受診歴によって異なるため、医療機関へ書類を依頼する前に、年金事務所などで確認すると安心です。
初診時の医療機関による証明が取れない場合
初診日が古い場合には、最初に受診した医療機関が閉院していたり、診療録が保存されていなかったりして、受診状況等証明書を取得できないことがあります。
その場合でも、初診日の確認方法がまったくなくなるとは限りません。
日本年金機構では、初診時の医療機関による証明が得られない場合について、請求者の状況に応じた別の初診日証明書類を案内しています。
まずは、最初に受診した医療機関について「受診状況等証明書が添付できない申立書」を作成し、そのうえで、初診日を確認するための資料を検討します。
使用できる資料や必要な組み合わせは、初診日の時期や受診歴などによって異なります。
自己判断で書類をそろえる前に、年金事務所や障害年金を扱う社会保険労務士へ相談しましょう。
初診日の確認資料となる可能性があるもの
初診時の医療機関による証明が得られない場合には、次のような資料が初診日を確認するための参考資料となる可能性があります。
- 次に受診した医療機関などの記録
- 身体障害者手帳などの申請時に提出した診断書
- 生命保険、損害保険、労災保険などの給付請求時に提出した診断書
- 事業所や学校などの健康診断の記録
- 健康保険の給付記録
- 交通事故証明書
- 当時の受診状況を知る第三者による申立書
- その他、初診日頃の受診状況を客観的に確認できる資料
これらの資料を提出すれば、必ず初診日が認められるというものではありません。
資料の内容や作成時期、ほかの提出書類との整合性などを含めて、個別に確認されます。
また、第三者による申立書については、原則として複数の第三者による証明と、本人が申し立てる初診日の参考となる資料が必要とされています。
第三者証明の取扱いには細かな条件があるため、作成を依頼する前に年金事務所などへ確認しましょう。
受診歴を探す手がかりとなるもの
次のようなものは、それだけで正式な初診日証明書類になるとは限りません。
ただし、最初に受診した医療機関や受診時期を思い出したり、別の記録を探したりするための手がかりになることがあります。
- 診察券
- お薬手帳
- 薬局でもらった薬の説明書
- 医療費の領収書
- 医療費通知
- 紹介状の控え
- 当時の予定表や日記
- 家族とのメールやメッセージ
- 会社へ提出した診断書の控え
- 休職、欠勤、早退などの記録
- 医療機関や薬局の名称がわかる預金通帳や家計簿などの記録
これらが残っていた場合は、すぐに提出するのではなく、まずコピーや写真を取って保管しましょう。
どの資料を正式に提出するかは、年金事務所や社会保険労務士へ相談したうえで決めることをおすすめします。
第三者による申立書とは
初診時の医療機関による証明が得られない場合、当時の受診状況を知っている第三者に「初診日に関する第三者からの申立書」を作成してもらう方法があります。
第三者とは、請求者本人や一定の範囲の親族以外で、初診日頃の受診状況を直接見聞きしていた方などをいいます。
たとえば、当時の友人、知人、職場の同僚、学校関係者、医療従事者などが該当する可能性があります。
ただし、第三者の申立書だけで初診日が決まるわけではありません。
原則として、複数の第三者による証明や、本人が申し立てる初診日の参考となる客観的な資料をあわせて提出し、内容を個別に確認してもらいます。
誰に申立てを依頼できるか、どのような資料を添付する必要があるかは、初診日が20歳前か20歳以後かなどによっても取扱いが異なることがあります。
作成を依頼する前に、年金事務所などへご確認ください。
初診日を整理してみましょう
最初から正確な年月日がわからなくても構いません。
まずは、覚えている範囲で次の内容を書き出してみましょう。
症状が現れた頃
- どのような症状があったか
- いつ頃から症状を感じたか
- 仕事や学校、生活にどのような変化があったか
- 家族や周囲の人に相談したか
最初の受診について
- 最初に受診したと思われる医療機関
- 診療科
- おおよその受診時期
- 受診したきっかけ
- 当時伝えた症状
- 薬を処方されたか
- 別の医療機関を案内されたか
その後の受診について
- 転院した医療機関
- 入院した時期
- 通院しなかった期間
- 病名が変わった時期
- 症状が悪化した時期
- 現在の医療機関を受診した時期
年月日を正確に思い出せない場合は、
「○年の春頃」
「就職して2年目」
「子どもが生まれた頃」
「休職する少し前」
など、当時の出来事と結び付けて整理すると、受診時期を思い出しやすくなります。
最初の医療機関へ確認するとき
最初に受診したと思われる医療機関がわかったら、まず診療記録が残っているか確認します。
問い合わせる際は、次の情報を伝えられるようにしておきましょう。
- 氏名
- 生年月日
- 受診当時の氏名
- 受診当時の住所
- 受診していたと思われる時期
- 診療科
- 当時の症状や病名
- 障害年金の請求に使用する証明が必要であること
医療機関によっては、電話では回答できない場合や、本人確認書類、委任状などが必要になる場合があります。
また、書類の作成には費用と時間がかかることがあります。
いきなり受診状況等証明書の作成を依頼するのではなく、まず記録の有無を確認し、年金事務所などで必要書類を確認してから正式に依頼すると、取り直しを防ぎやすくなります。
原本しかない資料は提出前に確認しましょう
初診日の確認に使える可能性がある資料の中には、再発行できないものがあります。
原本しか残っていない場合は、提出する前にコピーを取っておきましょう。
資料によって、原本の提出が必要な場合、写しで確認できる場合、窓口で原本確認を受ける場合など、取扱いが異なる可能性があります。
大切な資料を提出する前に、年金事務所などへ提出方法を確認してください。
初診日の確認が難しいときは
次のような場合は、初診日の確認や証明方法が複雑になることがあります。
- 最初の医療機関を覚えていない
- 最初の医療機関が閉院している
- 診療録が残っていない
- 最初と現在の病名が異なる
- 診療科が途中で変わっている
- 長期間通院していない時期がある
- 複数の病気やけがが関係している
- 20歳前から症状や受診歴がある
- 過去に同じ傷病で障害年金を請求したことがある
初診日を誤って整理すると、障害年金の種類や保険料納付要件の確認にも影響する可能性があります。
ご自身だけで「この日が初診日」と決めつけず、受診歴と残っている資料を整理したうえで、年金事務所や社会保険労務士へ相談しましょう。
初診日がわからなくても、相談から始められます
初診日を正確に証明できるかどうかは、医療機関への確認や資料の調査を進めなければわからないことがあります。
「昔のことで覚えていない」
「医療機関がなくなっている」
「最初は現在とは違う病名だった」
という場合でも、残っている医療機関の記録やその他の資料から、確認方法を検討できる可能性があります。
初診日がすぐにわからないことだけを理由に、最初から障害年金を諦める必要はありません。
まずは覚えている範囲で受診歴を整理し、年金事務所や障害年金を扱う社会保険労務士へ相談してみましょう。
初診日の確認について相談したい方へ
eNENKIN.netでは、障害年金について相談できる社会保険労務士の情報を掲載しています。
対応地域、相談方法、主な相談内容、費用の目安などを確認しながら、ご自身やご家族の状況に合う相談先をお探しいただけます。
相談するときは、わかる範囲で次の内容を伝えるとよいでしょう。
- 現在の病名
- 症状が始まったと思われる時期
- 最初に受診したと思われる医療機関
- これまでに受診した医療機関
- 最初の医療機関の記録が残っているか
- 手元にある診察券やお薬手帳など
- 過去に障害年金を申請したことがあるか
すべてを整理できていなくても相談できます。
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初診日の判断や証明方法は、病気やけがの経過、受診歴、初診日の時期、医療機関の記録、提出できる資料などによって異なります。
このページに記載した資料を提出すれば、必ず初診日が認められるというものではありません。
正式な初診日の確認や必要書類については、年金事務所、街角の年金相談センター、または障害年金を扱う社会保険労務士へご相談ください。